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一強の時代とその後 ― 巨大与党は、どこへ向かうのか

ポスト小泉の短命政権の連続、2009年の再下野、2012年の政権奪還、そして史上最長と呼ばれた長期政権と「一強」と評された時代。近年の政治資金をめぐる問題は報じられた範囲で。評価をめぐる議論を複数の見方で併記し、巨大与党のこれからを問う最終話。

2026年6月13日

劇場の幕が下りたあと、自由民主党を待っていたのは、安定ではなく動揺だった。強い指導者が去った党は、毎年のように総理大臣が交代する短命政権の時代に入り、ついには戦後初めて、選挙によって政権そのものを失う。けれども党はそこから返り咲き、やがて「一強」と評される長い政権の時代を迎えた。前回までたどってきた55年体制の成立から派閥、高度成長、金権政治、下野と再生、そして小泉劇場——その積み重ねの先に、現代の自民党は立っている。この最終話では、近年の出来事を、報じられ、公的に記録された範囲にとどめて、できるだけ冷静にたどっていく。

  1. 2006

    「小泉純一郎」の退陣後、第一次の「安倍晋三」政権が発足。以後、毎年のように総理が交代する時期が続いたとされる。

  2. 2009

    8月の総選挙で「民主党」が大勝し、自民党は結党以来初めて、衆議院第一党の座を選挙で明け渡したと報じられる。

  3. 2012

    12月の総選挙で自民党が大勝し、政権に復帰。第二次の「安倍晋三」政権が発足したとされる。

  4. 2014

    総選挙で自民・公明が引き続き多数を得たと伝えられ、長期政権の基盤が固まっていく。

  5. 2020

    「安倍晋三」首相が体調を理由に退陣を表明。連続・通算とも憲政史上最長の在職期間だったと報じられる。

  6. 2024

    総選挙で自民・公明の与党が衆議院の過半数を割ったと報じられ、政権運営の前提が大きく変わる。

短命政権の連続と、2009年の再下野

2006年に小泉政権が終わると、自民党は新しい局面に入る。後を継いだ「安倍晋三」が体調を理由に短期で退き、続く「福田康夫」「麻生太郎」もそれぞれ一年前後で政権を去った。強烈な個性で求心力を保った前任者の不在のなかで、党は再び指導力をめぐる難しさに直面したとされる。世界的な金融危機が日本経済を直撃したことも、政権運営の重しになったと伝えられる。

そして2009年8月の総選挙で、潮目が大きく変わった。「鳩山由紀夫」が率いる民主党が多くの議席を得て大勝し、自民党は議席を大幅に減らする。野党第一党が選挙で過半数を得て政権に就くのは戦後初めてのことで、自民党は結党以来初めて、選挙によって衆議院第一党の座を失った。第7話でたどった1993年の下野が連立の組み替えによるものだったのに対し、このときは有権者が一票で政権の交代を選んだ点に、大きな意味があったとされる。長く政権の座にあった巨大与党が、選挙で「ノー」を突きつけられた——その経験は、党にとって重い問いを残した。

政権奪還と「一強」と評された時代

野党となった自民党は、約3年余りを政権の外で過ごする。その間、民主党政権はさまざまな困難に直面したと報じられ、有権者の期待と現実とのあいだに溝が生じていったとされる。そして2012年12月の総選挙で、自民党は大勝して政権に復帰した。再び総裁の座にあった「安倍晋三」が首相となり、第二次の安倍政権が始まる。一度は政権を失った党が、わずか数年で返り咲いたことになる。

この第二次安倍政権は、その後の総選挙でも与党が多数を維持し、長期にわたって続いたとされる。2020年に安倍首相が体調を理由に退陣を表明した時点で、連続・通算いずれの在職期間も憲政史上最長だったと報じられた。経済政策や安全保障をめぐる方針が長く一貫して進められたこの時期は、しばしば「安倍一強」と評された。

長期政権の評価は、政策の分野ごとにも分かれる。同じ施策をめぐって、効果を上げたとする分析と、課題を残したとする分析の双方が示されており、専門家の間でも一致した結論には至っていない。歴史的な評価が定まるには、なお時間が必要だと言えるだろう。本連載の立場として、ここでは賛否いずれにも与せず、評価が割れているという事実そのものを記しておく。

近年の政治資金をめぐる問題 ── 報じられた範囲で

近年、自民党をめぐって大きく報じられたのが、派閥の政治資金パーティー収入に関する問題である。報道によれば、複数の派閥の政治団体が、パーティー収入の一部を政治資金収支報告書に適切に記載していなかったとされ、検察による捜査が行われたと伝えられた。この問題は政治への信頼を大きく揺るがし、関係する派閥が相次いで解散を決めたと報じられている。

ここで本連載は、慎重さを重ねて記する。この問題には存命の政治家・関係者が多数関わっており、個々の責任の有無や程度は、司法の判断や公的な調査に委ねられるべき事柄である。本稿は、報道され、公になった範囲の事実をなぞるにとどめ、特定の人物を新たに断罪したり、報じられていない疑惑を提示したりすることはしない。

2024年の総選挙では、自民党と公明党の与党が衆議院の過半数を割ったと報じられた。一つの政党が長く多数を占めてきた状況が、選挙のたびに問われる時代へと移りつつあるのかもしれない。ただし、その先がどうなるのかを予言することは、本連載の役目ではない。

これから ── 巨大与党をどう見るか

1955年の保守合同に始まり、自由民主党は戦後日本の長い時間を、与党として歩んできた。高度成長を支え、外交の枠組みを築き、その一方で派閥の力学や政治とカネの問題をくり返し抱えてきた——その歩みは、戦後日本そのものの歩みと深く重なる。この党を礼賛することも、断罪することも、本連載の目的ではなかった。一つの巨大な組織が、どのような仕組みで動き、何を成し、どこでつまずいてきたのか。それを史実に沿ってたどることで、私たちは「政治とは何か」を考える手がかりを得られる。

巨大与党のこれからがどうなるのかは、誰にも分からない。選挙のたびに有権者が下す判断の積み重ねが、その答えを少しずつ形づくっていくのだろう。歴史は、未来を言い当てる道具ではなく、いまを見るための鏡である。この連載が、その鏡の一枚になれたなら幸いである。

ここまで全10話、長い道のりにお付き合いくださり、ありがとうござった。安易な結論を急がず、立場を決めつけず、ただ事実を丁寧に重ねること——それが、政治という難しい主題に向き合うときの、私たちなりの誠実さである。あなたがこの先の政治を見つめるとき、本連載のどこか一場面でも、静かな手がかりになれば、これにまさる喜びはない。

【日本の政治 第一章 自民党 ― 戦後日本を動かした巨大与党・完】(第二章 民主党へ続く)

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