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ベスト8の壁と、その先へ — 2022⑩

ドイツとスペインを倒しながら、日本は四度目のベスト16で止まった。なぜ「ベスト8の壁」は越えられないのか。組織と個の成熟、PKという鬼門、世界との距離。カタールが残した宿題を冷静に見つめ直し、日本サッカーの現在地と、その先に広がる課題を掘り下げる。連載の締めくくり。

2026年6月28日

ドイツを倒し、スペインを倒した。世界が「死の組」と呼んだグループを1位で突破した。それでも日本は、決勝トーナメント1回戦で姿を消した。四度目のベスト16である。カタール大会が日本サッカーに残したのは、過去最大級の歓喜と、依然として越えられない「ベスト8の壁」という、二つの大きな事実だった。

  1. 1998-2014

    ベスト16進出は2002・2010の2度。2006・2014はグループリーグ敗退。

  2. 2018

    ベルギーに2対3。あと一歩でベスト8を逃す(ロストフの14秒)。

  3. 2022

    ドイツ・スペインを撃破し首位通過も、クロアチアにPK負けでベスト16。

なぜ「ベスト8の壁」は高いのか

日本はこれまでワールドカップで4度、ベスト16に進んだ。だが、その先へは一度も進めていない。2010年はパラグアイにPKで、2018年はベルギーに終盤の逆転で、そして2022年はクロアチアにPKで——いずれも、ほんの紙一重のところで敗れている。

この「あと一歩」が越えられない理由は、ひとつではない。決勝トーナメントで当たる相手は、グループリーグとは格が違う。経験豊富な強豪は、勝負どころでのわずかな精度や、ワンチャンスを仕留める決定力で日本を上回る。日本にも個の力は備わってきたが、トーナメントを勝ち抜くための「最後の決め手」と「勝負強さ」が、まだあと少し足りない。PK戦での二度の敗退は、その象徴でもあった。

組織と個の成熟

日本サッカーの強みは、長く「組織力」だと言われてきた。規律ある守備、献身的な走力、チームとしての一体感。2022年大会でも、その組織力が強豪を倒す原動力になった。

そこに近年、加わってきたのが「個の力」である。三笘薫、冨安健洋、堂安律、田中碧——欧州の主要リーグで主力を張る選手が増え、個でも世界と渡り合えるようになってきた。組織が個を生かし、個が組織を勝たせる。カタールで見せたこの理想的な噛み合わせを、いかに安定して再現できるか。それが、次のステップへの鍵になる。1998年の初出場時、世界との差に打ちのめされた日本が、いまや世界王者を倒すチームになった。その歩みの速さ自体が、ひとつの希望である。

現在地と、その先へ

カタール大会の日本は、「世界の壁」という言葉がもう似合わないチームだった。強豪に守られて惜敗するのではなく、強豪を正面から倒す。その立ち位置に、日本は確かに立っていた。残された宿題は、ただひとつ——ベスト16の、その先へ。

世代交代は進み、新しい才能が次々と現れている。世界のサッカーは戦術的に進化を続け、日本もまたその潮流のなかで自らを磨いていく。カタールで味わった歓喜と、PKの悔しさ。その両方を糧にして、日本代表の挑戦は続いていく。

ドイツとスペインを倒した夜、日本のサッカーは確かに新しい時代に入った。だが物語は、まだ途中である。ベスト8という未踏の頂へ——その挑戦が実を結ぶ日まで、日本代表の軌跡は、これからも書き継がれていく。

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