「死の組」E組 — 下馬評と日本のプラン — 2022②
組分け抽選で日本が引いたのは、過去に4度の優勝を誇るドイツ、無敵艦隊スペイン、そして堅守のコスタリカ。世界が「死の組」と呼んだE組で、日本の突破を予想する声はわずかだった。だが森保ジャパンには、明確な勝算と緻密なプランがあった。組分けの夜から本大会前夜までを掘り下げる。
2026年6月20日
2022年4月、組分け抽選の結果が発表されると、日本のサッカーファンは思わず天を仰いだ。グループE。日本とともにそこへ入ったのは、ワールドカップ優勝経験4回のドイツ、2010年の覇者スペイン、そして守備に定評のあるコスタリカだった。世界中のメディアが、このE組を「死の組(グループ・オブ・デス)」と呼んだ。
- 2022年4月
組分け抽選。日本はドイツ・スペイン・コスタリカと同じグループE。
- 2022年11月
本大会開幕。多くの専門家が日本のグループ突破を厳しいと予想。
- 目標
森保監督は大会を通じて「ベスト8」を明確な目標に掲げていた。
世界が見た「死の組」
なぜ「死の組」だったのか。ドイツは1954年から2014年まで4度の優勝を誇る、ワールドカップ屈指の伝統国である。スペインは2010年に世界の頂点に立ち、ボールを保持して相手を窒息させるパスサッカーで一時代を築いた。残るコスタリカも、2014年大会でベスト8まで勝ち上がった堅守の難敵だった。
この3カ国を相手に、日本が上位2つに入ってグループを突破する——多くの専門家にとって、それは現実味の薄いシナリオだった。海外メディアの予想では、日本は最下位ないし3位とされることが多かった。下馬評は、はっきりと日本に不利だった。
日本の勝算はどこにあったか
それでも、森保ジャパンに勝算がなかったわけではない。むしろ、強豪との対戦は日本のスタイルとかみ合う面があった。
日本の基本設計は、堅い守備をベースに、奪ったボールを一気に前へ運ぶ「速攻」である。ボールを保持して攻め込んでくるドイツやスペインのような相手は、攻撃に人数をかける分、背後にスペースを残す。そこを三笘薫や伊東純也、浅野拓磨といったスピードのある選手で突く——日本が得意とするカウンターの構図に、むしろ持ち込みやすい相手だった。さらに、選手の多くが欧州のクラブでドイツ人やスペイン人と日常的に戦っており、「強豪の怖さ」に過剰に萎縮しない世代でもあった。
ベスト8という旗
森保監督が掲げていた目標は、控えめなものではなかった。日本はこれまでワールドカップで4度ベスト16に進みながら、その壁を一度も越えていない。指揮官は、この大会で「ベスト8」をはっきりと口にしていた。
そのためには、まず死の組を突破しなければならない。プランは練られ、対戦相手は徹底的に分析された。誰がどこにスペースを残すか、どの時間帯に交代でギアを上げるか——森保ジャパンの準備は、緻密だった。世界が日本を軽く見るなか、日本は静かに刃を研いでいた。そして本大会が開幕する。最初の相手は、優勝経験4回のドイツ。日本の壮大な賭けが、いよいよピッチの上で試される。物語はドイツ戦へと続く。
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