カタールへの道 — 黒星スタートからの再起 — 2022①
森保ジャパンの4年は、順風満帆ではなかった。カタールW杯アジア最終予選は初戦オマーンに黒星、解任論が渦巻く苦しい船出。だが三笘薫・冨安健洋ら新戦力の台頭がチームを変えていく。本大会の歓喜の前にあった、長く厳しい「予選という物語」を掘り下げる。
2026年6月19日
ドイツを倒し、スペインを倒した夜の記憶は鮮烈だ。だが、その歓喜にたどり着くまでに、森保一の率いる日本代表は、ほとんど崖から落ちかけていた。カタール大会の本当の物語は、煌びやかな本大会の前、地味で過酷な「予選」から始まっている。
- 2018年
ロシア大会のあと、森保一が日本代表監督に就任。
- 2021年9月
カタールW杯アジア最終予選、初戦でオマーンに0対1。黒星スタート。
- 2022年3月
オーストラリアに2対0で勝利し、7大会連続の本大会出場を決める。
解任論のなかの船出
2021年9月、カタールW杯のアジア最終予選が始まった。ホームで迎えた初戦の相手はオマーン。格上とされた日本だったが、決定機を生かせず、終盤に痛恨の失点を喫して0対1で敗れる。前回ロシア大会の最終予選も初戦を落としており、いやな既視感が漂った。
続くアウェーの中国戦は1対0で勝ったものの、内容は重く、サウジアラビアやオーストラリアといったライバルとの差は縮まって見えなかった。一時はグループ3位に沈み、世論は厳しさを増す。「森保監督では本大会で戦えないのではないか」——解任論が公然と語られるほど、チームは追い込まれていた。
新戦力が変えた流れ
苦境を変えたのは、新しい力だった。イングランドへ渡り、世界最高峰のプレミアリーグでドリブルを磨いていた三笘薫。イタリアの名門で守備の中心に成長していた冨安健洋。田中碧、守田英正といった中盤の実力者たち。欧州で揉まれた選手が次々と代表に組み込まれ、チームの強度は明らかに上がっていった。
予選の終盤、日本は連勝で順位を押し上げていく。そして2022年3月24日、アウェーのオーストラリア戦。途中出場の三笘薫が、後半終盤とアディショナルタイムに鮮やかな2ゴールを叩き込み、2対0で勝利。日本は7大会連続7度目となるワールドカップ本大会出場を、自力で決めた。
「予選を勝ち抜く」ことの重み
ワールドカップは、出るだけでも難しい。世界では毎回、強豪が予選で姿を消す。アジアの戦いも年々厳しさを増し、かつてのように日本が余裕で勝ち上がれる時代ではなくなっていた。だからこそ、黒星スタートから立て直して切符をつかんだ過程には、本大会につながる多くの教訓が詰まっていた。
逆境での結束、新戦力の融合、そして「どんな内容でも勝ち点を拾う」したたかさ。森保ジャパンは予選を通じて、本大会で強豪と渡り合うための芯を、少しずつ太くしていった。歓喜の夜を語るなら、まずこの苦い予選から始めなければならない。物語は、運命の組分け抽選へと続く。
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