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ドイツ撃破の夜 — 3バックという賭け — 2022③

前半は劣勢、PKで先制を許す。だが後半、森保監督は布陣を4-2-3-1から攻撃的な3バックへと大胆に変える。三笘・浅野ら攻撃の駒を次々と投入し、堂安律と浅野拓磨のゴールで2対1の逆転勝利。新ルール「交代5人制」を最大限に生かした采配の一夜を、戦術の視点から掘り下げる。

2026年6月21日

2022年11月23日。日本のワールドカップ初戦、相手は優勝経験4回のドイツ。試合前、世界の予想は圧倒的にドイツ有利だった。その夜、日本は誰も予想しなかった一勝を、采配の力でつかみ取る。

  1. 前半33分

    ドイツのギュンドアンにPKで先制を許す。前半は終始劣勢。

  2. 後半

    森保監督が布陣を4-2-3-1から3-4-2-1(攻撃的3バック)へ変更。

  3. 後半30分・38分

    堂安律が同点、浅野拓磨が逆転ゴール。2対1でドイツを撃破。

前半、押し込まれた日本

試合は、予想どおりの展開で始まった。ドイツがボールを支配し、日本は自陣に押し込まれる。前半33分、ペナルティーエリア内での接触からPKを与え、ギュンドアンに冷静に決められて0対1。日本は何度もゴールを脅かされ、追加点を許してもおかしくない内容だった。GK権田修一の好守がなければ、前半のうちに試合は壊れていたかもしれない。

ハーフタイム、多くの人が「やはり強豪は強い」と感じていた。だが、ベンチの森保監督と分析スタッフは、前半の劣勢のなかで、ある確信を深めていた。ドイツの最終ラインの背後には、突けるスペースがある——と。

後半、3バックという大胆な変更

後半、森保監督は動いた。前半の4-2-3-1から、布陣を3-4-2-1へと変更する。最終ラインを3枚にし、両サイドに高い位置を取れるウイングバックを置く、攻撃的な3バックである。さらに、長友佑都に代えて三笘薫、前田大然に代えて浅野拓磨と、攻撃的な選手を次々と投入していった。

この采配には伏線があった。森保監督自身が「練習では4バックが中心で、3バックの準備は十分にはしていない」という趣旨を語っており、ある意味で「ぶっつけ本番」に近い大胆な賭けだった。だが、この変更でサイドに人をかけられるようになった日本は、押し返し始める。2022年大会から交代枠が5人に拡大されたことも、この畳みかける采配を可能にした追い風だった。

堂安と浅野、逆転の8分

仕掛けは実を結ぶ。後半30分、左サイドの三笘が起点となった攻撃から、南野拓実がシュート性のボールを送り、こぼれ球を堂安律が左足で叩き込んで同点。スタジアムの日本サポーターが揺れた。

そして後半38分、決定的な瞬間が訪れる。板倉滉のロングボールに浅野拓磨が抜け出すと、ドイツのDFを背負いながら巧みにコントロールし、角度のないところから名手マヌエル・ノイアーの頭上を撃ち抜く強烈なシュートを突き刺した。2対1。逆転。終盤、日本はほぼ5バックの守備ブロックを敷いてドイツの猛攻をしのぎ切り、歴史的勝利の笛を聞いた。

劣勢の前半から、采配ひとつで試合をひっくり返す。この勝利は「番狂わせ」と呼ばれたが、その中身は偶然ではなく、準備と決断の産物だった。だが、ワールドカップの怖さは、この直後に待っていた。次のコスタリカ戦で、日本はこの大会で最も悔やまれる一敗を喫することになる。物語はコスタリカ戦へと続く。

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