新時代の戦術 — 可変する3バック — 道のり⑧
就任当初は4バックを基本としていた森保ジャパンは、カタールでの3バックの成功を経て、2024年秋からは3バックを基軸に据えた。守備時は5枚、攻撃時は前に人をかける——状況に応じて姿を変える「可変システム」。豊富なタレントを生かす日本の戦術的進化を、analysisの視点で掘り下げる。
2026年6月26日
強いチームには、強い「型」がある。第2次森保ジャパンは、四年をかけて自分たちの型を磨き上げた。その中心にあったのが、状況に応じて姿を変える可変システム、とりわけ3バックを基軸にした戦い方である。日本の戦術的な進化は、タレントの充実と表裏一体だった。
- 就任当初
森保ジャパンは4バック(4-2-3-1など)を基本システムとしていた。
- 2022年
カタールW杯のドイツ戦・スペイン戦で3バックが機能し、成功体験に。
- 2024年秋以降
3バック(3-4-2-1)を基軸に据え、より攻撃的なスタイルへ移行。
4バックから3バックへ
森保監督は、就任当初は4バックを基本にしていた。だが、カタール大会のドイツ戦とスペイン戦で、後半から投入した3バックが見事に機能し、強豪を撃破する原動力になった。この成功体験が、その後のチームづくりに大きな影響を与える。
第2次政権が進むなかで、森保ジャパンは3バックを「奇策」ではなく「基軸」へと格上げしていった。とくに2024年秋以降は、3バック(3-4-2-1)を主たるシステムに据えるようになる。これは、森保監督がかつてサンフレッチェ広島で成果を上げた、なじみのある戦い方でもあった。広島時代の3バックは、守備時に5枚のブロックを作り、ボールを奪った瞬間に縦へ素早く展開する、堅守速攻のスタイルだった。その思想が、代表でも形を変えて受け継がれていく。
「可変」という思想
現代サッカーの鍵は、「可変」にある。守るときと攻めるときで、選手の立ち位置やシステムを変える。日本の3バックも、固定的なものではなかった。守備時には最終ラインに5枚が並び、ゴール前を分厚く固める。だが攻撃に転じると、両サイドの選手が高い位置を取り、前線に人数をかけて相手ゴールへ迫る。一つのシステムが、局面によって別の顔を見せるのである。
この可変システムを支えたのが、選手層の厚さだった。最終ラインには高さと対人の強さを備えたセンターバックが何人もそろい、サイドには相手を切り裂けるスペシャリストが控える。中盤には、攻守をつなぐ献身的な選手たち。それぞれの持ち味を組み合わせ、相手や試合展開に応じて戦い方を変える。豊富なタレントがあるからこそ、可変という贅沢な戦術が成立した。
攻撃志向の深化
第2次森保ジャパンのもう一つの特徴は、攻撃への姿勢が明確になったことだ。カタールでは守って耐え、後半に刺す現実的な戦いが目立った。だが2023年以降、日本は強豪相手にも複数得点を狙い、自ら主導権を握る場面が増えていった。守備の堅さを土台にしつつ、攻撃で相手を上回る——その両立を、日本は追い求めるようになった。
もちろん、攻撃志向には背後を突かれるリスクも伴う。アジアカップで先制しながら逆転を許したように、攻守のバランスは永遠の課題である。それでも、成熟した戦術と分厚いタレントを携えた日本は、かつてないほど多彩で強いチームになっていた。
その日本が挑む2026年大会は、これまでとはまったく違う姿で開かれる。史上初の48カ国、そしてアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共催という、巨大な大会である。物語は、拡大したワールドカップの全貌へと続く。
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