カタールの余韻と森保続投 — 異例の再任 — 道のり①
ドイツとスペインを倒し、それでもベスト16で散ったカタール大会。その直後、日本サッカー協会は森保一監督の続投を発表する。ワールドカップを戦った代表監督が大会後も続投するのは、日本史上初のことだった。なぜ「異例の再任」が選ばれたのか。2026年への道のりは、この決断から始まる。
2026年6月19日
2022年12月。カタールでの熱狂が冷めやらぬなか、日本サッカー協会はひとつの決断を下した。森保一監督の続投である。ドイツとスペインを撃破しながら、決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK負けを喫した、あの大会の指揮官を、再び2026年へ向けて起用する——。それは、日本サッカーの歴史にとって、前例のない選択だった。
- 2022年12月
カタール大会終了。日本はベスト16で敗退。
- 2022年12月28日
JFAが森保一監督の続投を発表。契約は2026年W杯まで。
- 意義
W杯で指揮した代表監督が大会後も続投するのは、日本代表史上初。
史上初の「W杯後続投」
これまでの日本代表は、ワールドカップが終わるたびに監督を代えてきた。1998年のあとは岡田武史からトルシエへ、2002年のあとはジーコへ、2006年のあとはオシムへ——大会ごとに指揮官が替わるのが、半ば慣例だった。世界を見ても、結果を残せなかった監督が交代するのは珍しくない。
だが2022年は違った。JFAは2022年12月28日、森保監督との契約を2026年大会まで延長すると発表する。ワールドカップで戦った代表監督が、大会後もそのまま続投する。それは、日本代表の歴史上、初めてのことだった。「強化の継続性」という、これまで日本に欠けていた発想が、ここで初めて前面に押し出されたのである。
「まだ見ぬ景色を」
続投の理由は、結果だけではなかった。森保監督はカタール大会で、強豪を倒す采配と、選手を信じて任せるマネジメントを示した。チームには一体感があり、ベスト16という成績以上に、内容は世界を驚かせた。その手応えを、ここで途切れさせるのは惜しい——そう判断されたのである。
森保監督自身も、続投にあたって「次のワールドカップで、まだ見ぬ景色を見たい」という趣旨の言葉を残した。「まだ見ぬ景色」とは、日本がいまだ到達できていないベスト8の、その先を指している。カタールで悔しさを味わったからこそ、同じ陣容で雪辱を期す。続投は、その執念の表明でもあった。
継続のなかの変化
ただし、続投は「現状維持」を意味しなかった。森保監督は第2次政権の発足にあたって、コーチ陣を入れ替えるなど、チームに新しい風を入れていく。土台は引き継ぎつつ、戦い方や選手起用には変化を加える。「継続のなかの変化」こそが、第2次森保ジャパンのテーマだった。
カタールでは、強豪相手に守って耐え、後半に刺す現実的なサッカーで結果を残した。だが、世界のさらに上を目指すには、受け身ではなく自ら主導権を握る戦いも必要になる。続投を決めた森保ジャパンは、この四年間で、より攻撃的で、より多彩なチームへと姿を変えていくことになる。
その変化の第一歩は、すぐに、しかも鮮烈な形で示された。続投からわずか1年もたたないうちに、日本はカタールでも倒したドイツを相手に、誰もが目を疑う結果を残す。物語は2023年、新生・森保ジャパンの躍進へと続く。
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