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連載 ・ 全10話

ヤクザと戦後日本 ― 裏社会の経済史

近世の賭場に集った博徒、縁日の露店に立った的屋(テキ屋)。近代国家の周縁で生まれ、任侠という自己像をまといながら、賭博と興行の利権を糧にした集団とは何だったのか。後のヤクザの源流を、制度とカネの視点から冷静にたどる第1話。

  1. 01 博徒と的屋 ― ヤクザの源流 近世の賭場に集った博徒、縁日の露店に立った的屋(テキ屋)。近代国家の周縁で生まれ、任侠という自己像をまといながら、賭博と興行の利権を糧にした集団とは何だったのか。後のヤクザの源流を、制度とカネの視点から冷静にたどる第1話。
  2. 02 焼け跡の秩序 ― 戦後混乱と闇市 1945年の敗戦。物資は欠乏し、配給は機能せず、警察の力も及ばない。その空白を埋めたのが、駅前にあふれた闇市だった。露店を差配した的屋、新たに現れた愚連隊。法が止まった焼け跡で広がった非合法の秩序が、戦後ヤクザの原型をつくる過程を、経済の視点からたどる第2話。
  3. 03 高度成長と組織化 ― 膨らむ経済の影で 1960年代、日本経済が急成長する裏側で、暴力団は地域の集団から全国規模の組織へと変わっていった。広域化と系列化、相次ぐ抗争、そして警察の頂上作戦。成長の影で膨らんだ裏社会の輪郭を、公的な記録の範囲で冷静にたどる。
  4. 04 カネの流れ ― 興行・建設・金融 膨らんだ組織は、何を元手に動いていたのか。芸能興行、建設の手配、金融や債権回収、総会屋、そしてみかじめ料。合法と非合法の境界に寄り添って利益を得る仕組みを、被害の側を見据えながら、経済の構造として冷静に読み解く。
  5. 05 抗争と社会不安 ― 巻き込まれる側から見た暴力 1980年代、組織の頂点をめぐる対立は街頭にまで及び、無関係な市民が巻き添えになる事件が報じられた。暴力の被害を受けた側の視点から、社会の不安と反発、そして取り締まり強化へと向かう転機を、公的に確定した事実の範囲で冷静に描く。
  6. 06 バブルと経済の闇 ― 地上げと不良債権 1980年代後半、地価と株価の高騰のなかで、裏社会は地上げや債権回収を通じて経済の中枢へと接近した。そして崩壊後、膨大な不良債権が新たな利権を生む。経済と暴力団がもっとも近づいた時代と、その代償を、公的に確認された事実の範囲で冷静に描く。
  7. 07 暴対法 ― 国家の反撃 1992年、暴力団対策法が施行された。指定暴力団という新しい制度、みかじめ料要求への規制、そして刑罰ではなく行政命令で締め上げる仕組み。国家は、暴力団との関係を根本から組み替えにかかった。その構造を冷静にたどる。
  8. 08 暴排条例と排除の時代 2010年、福岡で全国初の暴力団排除条例が施行され、翌年には全国へ広がった。銀行口座、契約、企業活動――暴力団を社会のあらゆる接点から締め出す仕組みが整っていく。罰の主役が警察から社会そのものへ移った、排除の時代の構造をたどる。
  9. 09 半グレと変容する裏社会 ― 見えなくなった暴力 暴対法と暴排条例に追い詰められた暴力団は、弱体化と分裂を重ねていく。その空白に現れたのが、組織に属さない半グレや、特殊詐欺を担う匿名・流動型の集団だった。見えにくくなった現代の裏社会を、報じられた範囲で構造として読み解く。
  10. 10 消えゆくヤクザ ― 裏社会の現在と未来 構成員は激減し、残った人々も高齢化が進む。足を洗っても口座すら作れず、社会に戻れない元構成員という難題。消えゆく暴力団のいまを、報じられた範囲の事実から見つめ、美化も断罪もせず、裏社会の未来をめぐる問いとして全10話を静かに締めくくる。