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連載 ・ 全10話

失われた30年 ― 日本はなぜ立ち止まったのか

1989年の暮れ、日経平均は3万8915円という史上最高値をつけた。誰もが宴の続きを信じていたその時、坂道はもう始まっていた。総量規制と五度の利上げ、株と土地の暴落。失われた30年の入口となったバブル崩壊を、データに即してたどる第1話。

  1. 01 宴のあと ― 史上最高値3万8915円から、坂道は始まった 1989年の暮れ、日経平均は3万8915円という史上最高値をつけた。誰もが宴の続きを信じていたその時、坂道はもう始まっていた。総量規制と五度の利上げ、株と土地の暴落。失われた30年の入口となったバブル崩壊を、データに即してたどる第1話。
  2. 02 不良債権という亡霊 ― 銀行も潰れる、を知った秋 バブル崩壊が銀行の帳簿に残した不良債権は、先送りされるうちに膨れ上がった。貸し渋りが企業を締めつけ、1997年から98年、三洋証券・拓銀・山一・長銀が次々と倒れる。銀行は潰れないという常識が崩れた金融危機を、史実に即して描く第2話。
  3. 03 デフレの罠 ― 物価が下がる国の謎 物価が下がるのは、ふつう歓迎されるはずのことだ。それなのに、なぜ日本は物価の下落に二十年以上も苦しんだのか。デフレスパイラルの仕組み、消費と投資が冷え込む構造、そして日銀がゼロ金利と量的緩和という前例のない実験に踏み出すまでを、史実とデータからたどる第3話。
  4. 04 就職氷河期 ― 失われた世代の20年 バブル崩壊の後、企業は新卒採用の扉を固く閉ざした。求人倍率が一倍を割り込み、安定した職に就けないまま社会に出た若者たち——のちにロストジェネレーションと呼ばれる世代に、その停滞のしわ寄せは集中していく。世代の犠牲を中立にたどる第4話。
  5. 05 痛みを伴う改革 ― 光と影をまとった構造改革 2001年に登場した「小泉」政権は、聖域なき構造改革を掲げた。不良債権処理、規制緩和、郵政民営化――戦後最長の景気回復をもたらしたとされる一方、格差の拡大も指摘された。礼賛も断罪もせず、評価が割れる改革の光と影を中立に見つめる。
  6. 06 二度目の崖 ― リーマン・ショックと超円高の試練 2008年、アメリカ発の金融危機が世界を呑み込んだ。震源から遠いはずの日本で輸出が急減し、戦後最大級のマイナス成長に。やがて1ドル75円台という超円高とデフレ深刻化が重なる。政権交代を経て再び停滞へ沈む日本経済を、中立に描く。
  7. 07 アベノミクスという実験 ― 三本の矢は何を撃ったのか 2013年、日本は異次元と呼ばれる経済政策に踏み出した。大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略――三本の矢が放たれ、株価は上がり円は安くなった。だがその矢は、本当に的を射たのか。今も評価が割れる大実験を、データに沿って冷静にたどる。
  8. 08 賃金が上がらない国 ― 停滞の正体を探して 30年で名目賃金がほとんど増えなかった国――それが日本だった。なぜ給料は上がらなかったのか。低い生産性、ふくらむ企業の内部留保、デフレ下の経営、雇用の慣行。成長と分配が噛み合わなかった理由を、ひとつの犯人に決めつけず、複数の視点から丁寧にほどく。
  9. 09 縮む日本 ― 少子高齢化という重力 賃金や物価の議論の足元で、もっと根深い変化が進んでいた。人口の減少と高齢化である。総人口は二〇〇八年をピークに減りはじめ、社会保障費は膨らみ、地方は人を失い、働き手は細っていく。経済を内側から押し戻す静かな重力を、データに即して中立にたどる。
  10. 10 失われた30年は終わったのか ― 日本の現在地 三十数年ぶりの株価最高値、33年ぶりの大幅賃上げ、長く続いたデフレからの転機とされる物価上昇。再生の兆しと報じられる動きの一方で、実質賃金や財政、人口という重い課題は残る。失われた30年は終わったのか――性急に断じず、複数の角度から日本の現在地を見つめ、この長い連載を静かに閉じる。