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連載 ・ 全10話
アイドルの時代 ― 偶像が映した日本人の夢
いまでは当たり前に使う「アイドル」という言葉には、海を渡ってきた来歴がある。1960年代、一本のフランス映画が運んだ idole という語と、高度成長期の日本に彗星のように現れた御三家。歌手でもスターでもない、新しい偶像が生まれる瞬間をたどる第1話。
- 01 偶像の誕生 ― アイドルという言葉が来た日 いまでは当たり前に使う「アイドル」という言葉には、海を渡ってきた来歴がある。1960年代、一本のフランス映画が運んだ idole という語と、高度成長期の日本に彗星のように現れた御三家。歌手でもスターでもない、新しい偶像が生まれる瞬間をたどる第1話。
- 02 花の中三トリオ ― テレビが量産した最初のアイドル カラーテレビが各家庭に広がった1970年代前半、お茶の間そのものがスターを生む装置になった。オーディション番組「スター誕生!」と、そこから巣立った森昌子・桜田淳子・山口百恵。花の中三トリオと呼ばれた同い年の三人が拓いた、テレビとアイドルの蜜月の物語。
- 03 聖子と明菜 — 二人の歌姫が国民を二分した日 1980年代、テレビは毎週のように新しいアイドルを生み出した。中心にいたのは松田聖子と中森明菜。正反対の魅力を競った二人と、放課後の女子高生がそのまま歌手になった「おニャン子クラブ」。アイドルは量産され、そして社会現象になった。
- 04 冬の時代 — アイドルが「ダサい」と言われた頃 1990年代前半、あれほど賑わったアイドルの舞台が急速に静まり返る。歌番組は次々と終わり、バンドブームとJ-POPがチャートを席巻した。そんな時代に、媚びず自分らしく生きる安室奈美恵が現れる。アイドルとは違う、新しい女性像が若者の心をつかんだ。
- 05 落ちこぼれの逆襲 ― モーニング娘。が見せた成長の物語 オーディションに落ちた5人が、CDを5日で5万枚手売りせよと言い渡された。テレビ東京『ASAYAN』とつんく♂が仕掛けたモーニング娘。は、完成されたスターではなく「成長する姿」そのものを売った。アイドルの長い冬を破った国民的グループの誕生を史実ベースで描く。
- 06 会いに行けるアイドル ― AKB48という発明 2005年、秋葉原の雑居ビルの一室に作られた専用劇場。初日の客は7人だった。秋元康が仕掛けたAKB48は、毎日会える劇場と握手会、そしてファンが順位を決める総選挙で、アイドルとファンの距離を消した。賛否を呼んだ「会いに行けるアイドル」の発明を史実ベース・中立に描く。
- 07 王国の光と影 ― 男性アイドルとジャニーズ 歌って踊る男性アイドルという様式を日本に根づかせ、半世紀にわたり芸能界に君臨した王国。その光の大きさと同じだけ、長く語られなかった影があった。2023年、創業者による性加害が事務所自身によって認められた経緯を、報じられた事実の範囲で誠実にたどる。
- 08 地下からの熱狂 ― 一枚のチェキが生んだ経済 2010年代、アイドルはテレビの外で爆発的に増殖した。地下アイドル、ご当地アイドル、ライブハウスとチェキ会――会いに行ける関係はさらに小さな現場へと枝分かれし、推し活経済の芽が育つ。夢と熱狂の裏にあった労働の現実も含め、アイドル戦国時代の素顔をたどる。
- 09 黒船は歌い、踊る — K-POPが日本に突きつけたもの 海の向こうから、徹底的に磨き上げられたアイドルがやってきた。練習生制度、世界戦略、日本市場への波及。BoAから少女時代、BTSやBLACKPINKまで、日韓のアイドル観の違いとグローバル競争を、報じられた範囲で中立にたどる。
- 10 推しのいる暮らし — 偶像は、これからどこへ 推し活という言葉が暮らしに根づき、SNSが誰もを発信者にし、VTuberのような新しい偶像が現れた。経済と文化、セルフプロデュース、ジェンダーと多様性。六十年の旅の終わりに、アイドル文化のこれからを、安易な答えを急がずに見渡す最終章。