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連載 ・ 全10話
和食と洋食 ― 日本の食卓の物語
大陸から海を渡ってきた一粒の稲が、列島の食卓を変えた。米と汁、昆布や鰹の出汁、仏教がもたらした肉食の禁忌と精進料理。古代から中世にかけて、日本の食の基層がどのように形づくられていったのかを、史実をたどりながら静かに描く第1話。
- 01 米と出汁の国 ― 和食の原型 大陸から海を渡ってきた一粒の稲が、列島の食卓を変えた。米と汁、昆布や鰹の出汁、仏教がもたらした肉食の禁忌と精進料理。古代から中世にかけて、日本の食の基層がどのように形づくられていったのかを、史実をたどりながら静かに描く第1話。
- 02 一汁三菜の完成 ― 和食という様式 武家の礼法から生まれた本膳料理、茶の湯が育てた懐石。そして百万都市・江戸の路上で、寿司や天ぷら、蕎麦が屋台から生まれていく。様式の美と庶民の活気が出会ったところに、私たちが知る和食のかたちが整っていく道のりをたどる第2話。
- 03 黒船と肉食解禁 ― 文明開化の食卓 幕末、浦賀沖に現れた黒船が日本の扉をこじ開けた。開国とともに西洋の食が流れ込み、明治5年には天皇が牛肉を口にしたと伝えられる。千年以上つづいた肉食の禁忌が解かれ、湯気を立てる牛鍋が文明開化の象徴となるまでをたどる第3話。
- 04 洋食の誕生 ― 和魂洋才の味 カレーライス、トンカツ、コロッケ、オムライス。西洋から来た料理は、ごはんに合い、箸で食べられる味へと作り変えられていった。本格的な西洋料理とは別に「洋食」という日本独自のジャンルが生まれるまでを、起源の諸説とともにたどる第4話。
- 05 軍隊と学校が広めた味 ― 国家が標準化した食卓 明治の海で、若い水兵たちが次々と脚気に倒れていた。その謎を追った軍医の挑戦から、海軍カレーが生まれたと伝えられる。軍隊の食堂と、貧しい子のための一杯のおにぎり。近代国家が栄養という尺度で国民の食を整えていった、食卓の標準化の物語を史実ベースで描く。
- 06 外食の大衆化 ― カフェーとデパート食堂 大正から昭和のはじめ、都市の盛り場にカフェーの灯がともり、震災を越えて復興した街には百貨店の大食堂がにぎわった。一皿の上に富士山型のライスと小さな旗を立てたお子様ランチ。家の外で食べることが楽しみになり、洋食が庶民のものになっていく、都市の食卓の物語を史実ベースで描く。
- 07 飢餓と復興 ― 食糧難からパン食へ 戦争は日本の食卓から豊かさを奪った。配給通帳と外食券、すいとんと代用食、そして敗戦後の深刻な飢餓。やがてアメリカの小麦と脱脂粉乳が届き、学校給食のパンとミルクが、日本人の食を静かに、しかし大きく塗り替えていく。
- 08 高度成長と食の革命 焼け跡から立ち上がった日本は、驚くべき速さで豊かになっていく。1958年のインスタントラーメン、台所に入った冷蔵庫、1970年に開いたファミリーレストランとファストフードの時代。高度成長は、日本人の食卓を質も量も一変させる革命をもたらした。
- 09 世界が和食を見つけた 海の向こうで生魚を食べる文化が受け入れられるとは、かつて誰も思わなかった。寿司ブーム、ヘルシー志向、2013年の和食のユネスコ無形文化遺産登録、そして世界へ広がる日本食レストラン。和食が世界語になっていく過程を、報じられた範囲で中立にたどる。
- 10 食卓のこれから 一人で食べる人が増え、惣菜が食卓を支え、食料の多くを海の向こうに頼る。和食と洋食が溶け合った日本の食卓は、いまどこへ向かうのか。孤食・中食・食料自給・伝統の継承という現代の問いを、報じられた範囲で中立に見つめ、この長い物語を静かに閉じる最終話。