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連載 ・ 全10話

EU史 ― 戦争を越えた欧州統合の物語

二度の世界大戦が欧州を焼き尽くした20世紀前半。なぜ隣り合う国々は殺し合いをやめられなかったのか。クーデンホーフ=カレルギーのパン・ヨーロッパ構想、ブリアンの欧州連邦案、そしてチャーチルの欧州合衆国演説。二度と戦争をしないための夢が芽生えるまでをたどる第1話。

  1. 01 廃墟からの夢 — 統合という理想 二度の世界大戦が欧州を焼き尽くした20世紀前半。なぜ隣り合う国々は殺し合いをやめられなかったのか。クーデンホーフ=カレルギーのパン・ヨーロッパ構想、ブリアンの欧州連邦案、そしてチャーチルの欧州合衆国演説。二度と戦争をしないための夢が芽生えるまでをたどる第1話。
  2. 02 石炭と鉄から — ECSCの誕生 1950年5月9日、フランス外相シューマンが世界を驚かせる宣言を発した。仏独の石炭と鉄鋼を一つの機関のもとに置くという案だった。黒衣の参謀ジャン・モネの構想、二度と戦争できない仕組みづくり、そして1952年の欧州石炭鉄鋼共同体ECSC発足までを描く第2話。
  3. 03 ローマ条約 — 共同市場への一歩 1957年、6カ国はローマで二つの条約に署名した。石炭と鉄から始まった統合は、市場そのものを一つにしようとする。EEC・関税同盟・ユーラトムの誕生と、共同市場という大きな賭けを、その理想と難しさの両面から中立にたどる。
  4. 04 拡大する共同体 繁栄する6カ国の共同体に、加わりたい国が現れる。だがドゴールは英国の加盟を二度阻んだ。1973年の第一次拡大、南欧の民主化と加盟、そして共通農業政策の光と影。共同体が大きくなる過程を、その理想と軋みの両面から中立にたどる。
  5. 05 単一市場とマーストリヒト ― EUの誕生 1986年の単一欧州議定書はヒト・モノ・カネ・サービスの国境を取り払い、1992年のマーストリヒト条約はついに「欧州連合(EU)」を生んだ。三本柱と欧州市民権、そして主権をめぐる賛否の声まで、共同体が国家連合へと姿を変えた瞬間を史実ベースで描く。
  6. 06 ユーロという賭け ― 一つの通貨、十九の財政 1999年に帳簿の上で生まれ、2002年に紙幣と硬貨となって人々の手に渡った共通通貨ユーロ。欧州中央銀行が金利を握り、収斂基準が参加の門を定めた。だが「通貨は一つ、財政は各国ばらばら」という構造には、最初から見過ごせない火種が潜んでいた。統合の理想とリスクを史実ベースで描く。
  7. 07 東への拡大 — 鉄のカーテンの先 冷戦が終わり、鉄のカーテンの向こうにあった国々がEUの扉を叩く。中東欧の民主化と市場経済化、2004年の10カ国一斉加盟、そしてEUは28カ国へ。大陸を一つにする壮大な拡大は、活力とともに新たな摩擦も運んできた。
  8. 08 ユーロ危機 — 統合のほころび 2009年、ギリシャの財政の真の姿が明らかになり、共通通貨ユーロは創設以来最大の試練に直面する。南欧の債務、緊縮策をめぐる南北の対立、ECBの決断。ユーロは生き延びられるのか――。結束が根底から問い直された日々を描く。
  9. 09 ブレグジット — 離脱という衝撃 移民・主権・EU懐疑論の高まりのなか、2016年の国民投票でイギリスは離脱を選んだ。2020年の正式離脱はEU史上初の縮小となる。ポピュリズムの時代に、ひとつの島国が下した決断とその功罪を、賛否どちらにも与せず中立に見つめる。
  10. 10 岐路に立つ欧州 — EUの未来 2022年、ウクライナで戦争が起きた。EUは制裁とエネルギー危機に直面しながら結束を見せ、ウクライナを加盟候補国に迎える。拡大と深化のジレンマ、ポピュリズムと結束のはざまで、二度と戦争をしないために始まった平和の実験は次にどこへ向かうのか。連載最終章。