その後の系譜 ― 民主党が残したもの
政権を失った民主党は、民進党への衣替え、2017年の希望の党をめぐる騒動と分裂、そして立憲民主党・国民民主党への再編という道をたどりました。二大政党制の夢はどこへ向かったのか。民主党政権の歴史的評価を性急に断じることなく、多面的にたどる最終話です。
2026年6月13日
政権を失ったあとの民主党は、消えてなくなったわけではなかった。名前を変え、分かれ、また集まり、いまの野党のかたちへとつながっていく。前回たどった2012年の大敗から先の歩みは、二大政党制という夢が、現実の中でどう揺れたのかを映す鏡でもある。この最終話では、民進党への再出発、2017年の希望の党をめぐる騒動と分裂、そして立憲民主党・国民民主党への再編という流れをたどる。存命の政治家が数多く関わる近年の出来事であるから、報じられ、公的に記録された範囲にとどめ、特定の立場を断じることはしない。そのうえで、民主党政権が日本に残したものを、静かに振り返って連載を閉じたいと思う。
- 2016
3月、民主党と維新の党が合流し「民進党」が発足。「岡田克也」が初代代表に就いたと報じられる。
- 2017
9月、「小池百合子」が「希望の党」を結党。民進党は事実上の合流を決めたが、いわゆる排除をめぐる議論が起きたとされる。
- 2017
10月、「枝野幸男」らが「立憲民主党」を結成。総選挙で野党第一党に躍進したと伝えられる。
- 2018
希望の党の流れをくむ勢力などが合流し「国民民主党」が発足したとされる。
- 2020
9月、立憲民主・国民民主の多くが合流して新たな立憲民主党が発足。「玉木雄一郎」らは国民民主党として活動を続けたと報じられる。
民進党へ ── もう一度、大きな受け皿を
2012年の敗北のあと、民主党はしばらく野党第一党として再建の道を探る。そして2016年3月、民主党は「維新の党」と合流し、新たに「民進党」として再出発した。初代の代表には「岡田克也」が就き、衆参あわせて150人を超える勢力でのスタートだったと報じられている。分散していた非自民の議員を、もう一度大きな一つの器にまとめ直そうとする試みだった。
同じ年の秋には代表が「蓮舫」に交代し、さらに2017年には「前原誠司」が代表となる。短い期間に顔ぶれが移り変わったことからも、党の立て直しが容易ではなかったことがうかがえる。それでも民進党は、安倍政権に対峙する野党第一党として、二大政党制のもう一方の極を担おうとしていた。
2017年、希望の党という嵐
2017年の秋、政治は大きく揺れる。9月、東京都知事だった「小池百合子」が新党「希望の党」を立ち上げた。折しも衆議院の解散が決まり、野党第一党だった民進党は、この希望の党へ事実上合流する形で選挙に臨むという、思い切った決断を下する。一時は、これで非自民勢力が再び大きくまとまるのではないか、という期待も語られた。
ところが、合流をめぐって民進党のすべての議員が希望の党に受け入れられるわけではない、という方針が示されたと報じられる。いわゆる「排除」という言葉とともに伝えられたこの局面は、合流に向かっていた流れを一変させた。希望の党に加わらなかった議員たちは新たな選択を迫られ、「枝野幸男」らが中心となって「立憲民主党」を結成する。
その後、希望の党の流れをくむ勢力などは2018年に「国民民主党」を結成し、立憲民主党とは別の道を歩む。一度は一つになりかけた人々が、再び二つの党に分かれた格好だった。
再編の果てに ── 立憲民主党と国民民主党
分かれた流れは、もう一度近づく場面も迎える。2020年9月、立憲民主党と国民民主党の多くの議員が合流し、新たな「立憲民主党」が発足した。衆参あわせて150人近い勢力となり、野党第一党としての立場を固めたと報じられている。代表には引き続き「枝野幸男」が選ばれた。
ただし、このときも全員が合流したわけではない。「玉木雄一郎」らは合流に加わらず、国民民主党として活動を続けることを選ぶ。政策や路線をめぐる考え方の違いが、その背景にあったとされる。こうして現在につながる、立憲民主党と国民民主党という二つの野党のかたちが定まっていった。民主党という一つの大きな党から始まった流れは、いくつもの離合集散を経て、いまの政治地図の一角を形づくっている。
民主党が残したもの ── 結論を急がずに
ここまで、第二章として民主党の歩みをたどってきた。1990年代の政界再編から、二つの民主党の結党と合流、剛腕と呼ばれた「小沢一郎」、マニフェスト型の選挙、2009年の歴史的な政権交代、鳩山・菅・野田の三政権、3.11、消費増税、そして分裂と再編——一つの政党の物語であると同時に、平成という時代の政治そのものの物語でもあった。
この党を礼賛することも、断罪することも、本連載の目的ではなかった。期待され、政権を担い、つまずき、そして分かれていったこの歩みを、史実に沿って丁寧にたどること。そこから「政権交代とは何か」「政党とは何か」を考える手がかりを得ること。それが、第二章を通して目指したことである。民主党政権の歴史的な評価は、いまも大きく割れている。事業仕分けや情報公開、子育て支援といった試みを評価する声がある一方で、政権運営の混乱を厳しく総括する声もある。本連載は、そのどちらか一方を答えにすることをしなかった。評価が定まるには、なお時間が必要なのだと思う。
歴史は、未来を言い当てる道具ではなく、いまを見るための鏡である。政権交代の高揚と挫折を、私たちが冷静に振り返ることができるなら、それは次に一票を投じるときの、静かな手がかりになるはずである。
第二章「民主党 ― 政権交代の夢と挫折」、全10話の長い道のりに最後までお付き合いくださり、ありがとうござった。安易な結論を急がず、特定の立場を決めつけず、ただ事実を丁寧に重ねること——それが、評価の割れる主題に向き合うときの、私たちなりの誠実さである。あなたがこの先の政治を見つめるとき、本連載のどこか一場面でも、静かな手がかりになれたなら、これにまさる喜びはない。
【日本の政治 第二章 民主党 ― 政権交代の夢と挫折・完】
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