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連載 ・ 全10話

時を刻む者たち ― 高級時計の世界史

中世の塔時計から脱進機の発明、ぜんまいが生んだ携帯時計、そして懐中時計の登場まで。人類が時間を「所有」しようとした欲望の歴史を、史実をたどりながら物語る連載第1話。

  1. 01 時を計る欲望 ― 人類はいかにして時間を所有したか 中世の塔時計から脱進機の発明、ぜんまいが生んだ携帯時計、そして懐中時計の登場まで。人類が時間を「所有」しようとした欲望の歴史を、史実をたどりながら物語る連載第1話。
  2. 02 時計の国スイスはなぜ生まれたか ― 信仰の嵐が運んだ職人たち なぜスイスは時計の国になったのか。宗教改革とカルヴァンの奢侈禁止、迫害を逃れたユグノーの亡命職人、そして雪に閉ざされたジュラ山脈の農民が冬に時計を組んだ家内制工業。スイス時計産業誕生の物語を描く連載第2話。
  3. 03 経度を制した時計 ― 海と鉄道が、世界の時刻を揃えた 緯度は星で測れても、経度だけは「正確な時計」がなければ分からなかった。多くの船が位置を見失い、岩礁に消えていく。海が突きつけた難問に挑んだ無名の職人ジョン・ハリソンと、やがて鉄道が世界の時刻を一本に揃えていくまでを描く第3話。
  4. 04 手首の革命 ― 戦争が、男に腕時計を巻かせた 腕時計はかつて女性の装身具と見なされ、男が手首に巻くのは恥とすら言われた。空を飛ぶ青年のために生まれた「サントス」、塹壕で命をつないだ軍用時計、そして時計が懐中から手首へと居場所を移すまでを描く第4話。実用品としての腕時計の誕生をたどる。
  5. 05 時計の貴族たち ― ジュネーブが守った最高峰の矜持 ジュネーブの静かな工房で、時計は実用品の枠を超え、芸術の高みへと登っていった。パテック・フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲ。御三家と呼ばれる三つの名と、920個の部品からなる複雑機構の頂を、史実ベースで描く。
  6. 06 ロレックスという発明 ― 海峡と頂が証明した王者 ドーバー海峡を泳ぎ切った女性の手首と、エベレストの頂に立った登山家。ハンス・ウィルスドルフが築いた一つの名は、防水と自動巻きという発明を、冒険の物語とともに世界へ刻みつけた。信頼の代名詞となった王者の物語を、史実ベースで描く。
  7. 07 クオーツ・ショック ― 日本がスイスを倒した日 1969年のクリスマス、日本の小さな研究所から世界初のクオーツ腕時計が生まれた。機械式の王国スイスは、安く正確な時計の波に呑まれ、雇用も会社も半減する未曾有の危機に直面する。革命だったのか、悲劇だったのか。
  8. 08 スウォッチの逆襲 ― プラスチックがスイスを救った 清算寸前のスイス時計産業を、一人のコンサルタント、ニコラス・ハイエックが救う。彼の武器は、わずか51部品の安いプラスチック時計「スウォッチ」だった。安物で稼ぎ、機械式を高級へと再定義する——逆転の戦略の物語。
  9. 09 時代遅れに払う大金 — 機械式ルネサンスの謎 クオーツに精度で敗れたはずの機械式時計が、なぜよみがえったのか。資産価値、ステータス、そして物語への回帰——一九九〇年代以降の機械式ルネサンスをたどりながら、人が時代遅れの機械に大金を払う理由を、光と影の両面から静かに考える。
  10. 10 スマートウォッチ時代に、なぜ機械式は売れ続けるのか アップルウォッチが登場し、腕時計はふたたび姿を変えた。それでも機械式は売れ、二次流通市場は過熱したと報じられる。スマートウォッチの時代に高級時計が持つ意味とは何か。十話にわたる旅の最終章として、答えを急がず、時計と人の関係をそっと見渡す。