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令和とこれから

平成から令和へ。即位の礼を経て、現代の皇室は象徴としての務めを受け継いでいる。一方で、皇位の安定的な継承をめぐっては、女性・女系の論点を含めさまざまな議論が続いている。諸説を公平に併記しながら、伝統と現代社会のなかで皇室はどうあるのかを、答えを急がずに見渡す最終章。

2026年6月13日

前回、私たちは平成の皇室が、被災地へのお見舞いや戦地への慰霊の旅を通じて、国民とともにある象徴の姿を深め、やがて二百年ぶりとされる退位への道を開いていった歩みを見た。静かな言葉から始まったその道のりは、立法という手続きを経て、新しい時代へと引き継がれていく。

この最終章では、令和への代替わりから現在までを見渡する。即位の礼によって受け継がれた皇位、現代の皇室が担う役割、そして皇位の継承をめぐって続いているさまざまな議論。神話の時代から千年を超えてたどってきたこの連載の終わりに、私たちはあえて結論を急がない。意見が分かれるテーマについては複数の見方を公平に並べ、伝統と現代社会のあいだで皇室がどうあるのかを、静かに見つめてみたいと思う。

令和への代替わり

平成31年(2019年)4月30日の退位を受けて、翌5月1日、皇位が受け継がれ、元号は令和へと改められた。

公的記録によれば、5月1日には皇位継承を示す「剣璽等承継の儀」などが国事行為として行われ、新しい天皇が即位された。報道では、存命の天皇からの譲位による代替わりは、江戸時代後期の光格天皇以来、およそ二百年ぶりの形とされた。そして同じ年の10月22日には、即位を国の内外に示す「即位礼正殿の儀」が宮殿で執り行われた。古くからの装束や調度を伴う厳かな儀式は、長い歴史のなかで受け継がれてきた形式を今に伝えるものとして、多くの注目を集めたと報じられている。

  1. 2019年5月

    退位を受けて皇位が継承され、元号が令和に改められる。即位に伴う儀式が国事行為として行われる。

  2. 2019年10月

    即位礼正殿の儀が宮殿で執り行われ、即位が国の内外に示される。

  3. 2021年12月

    皇位の安定的な継承などを検討した有識者会議が報告書をまとめ、複数の方策が示されたと報じられる。

  4. 2022年以降

    報告書をもとに、立法府を中心とした議論が続けられているとされる。

平成から令和への代替わりは、退位という形で行われた点で、近代以降では特別な意味を持つものだった。崩御に伴う代替わりとは異なり、二つの時代が静かに橋渡しされていく――その移り変わりを、多くの人々が見守ったといえるだろう。

現代の皇室の役割

令和の皇室は、平成までに形づくられてきた象徴としての務めを受け継いでいる。

日本国憲法のもとで、天皇は国の政治に関する権能を持たず、憲法に定められた国事行為を行うとともに、国と国民統合の象徴として位置づけられている。国事行為のほかにも、被災地へのお見舞いや、各種の式典への臨席、国際親善など、公的な活動が重ねられていると報じられている。こうした務めの多くは、戦後から平成にかけて積み重ねられてきた歩みの延長線上にあるものといえる。

伝統を受け継ぐ存在でありながら、現代社会のただなかにある――この二つの面を同時に抱えていることが、現代の皇室の一つの特徴だといえるかもしれない。

皇位継承をめぐる議論

令和の時代において、皇室に関わる大きな課題として語られているのが、皇位の安定的な継承をめぐる問題である。これは評価や立場が分かれるテーマであり、ここではどの立場にも与せず、報じられている論点を公平に並べることに努める。

公的記録や報道によれば、皇位の継承資格や皇族の数の確保について、これまで複数回にわたり有識者会議などで検討が重ねられてきた。平成17年(2005年)の有識者会議の報告書では、安定的な継承のために、女性や女系の子孫へ継承資格を広げる方向が示されたとされる。一方で、その翌年に男子の皇族が誕生したことなどを背景に、慎重な意見も強まり、制度の改正には至りなかった。

近年では、令和3年(2021年)にまとめられた有識者会議の報告書で、女性の皇族が結婚後も皇族にとどまる案や、かつて皇族であった家系の男子を養子として迎える案などが示されたと報じられている。その後、こうした報告書をもとに、立法府を中心とした議論が続けられているとされる。皇位の継承は、皇室の制度の根幹に関わるとともに、社会全体で考えるべき主題でもあり、結論は容易には定まっていない。

千年を歩んできて、これから

神話と伝承の時代から始まり、古代の天皇、武家の世の権威、近代の天皇、そして戦後の象徴天皇へ――この連載でたどってきた皇室の歩みは、日本という国の歴史そのものと深く重なり合っていた。

時代ごとに、皇室の立場は大きく変わってきた。政治の中心にあった時代もあれば、権力から離れて権威として保たれた時代もあり、近代国家の中心に据えられた時代もあった。そして戦後、政治の権能を持たない象徴として、新しい歩みが始まった。形を変えながらも長く受け継がれてきたこと、それ自体が、この歴史の一つの特徴だといえるのかもしれない。

千年を超える歩みのなかで、皇室は数えきれない出来事とともにあった。その一つひとつを、煽ることも礼賛することもなく、できるかぎり静かに見つめようとしてきたのが、この連載だった。これからの皇室がどのような道をたどるのか、確かなことを私たちは言えない。けれども、長い歴史を知ることは、目の前の議論をより落ち着いて、より深く考えるための土台になるはずである。

神話の薄明かりから令和の今日まで、長い旅にお付き合いくださった読者のみなさんに、心から感謝する。答えを急がず、歴史に学びながら、これからもともに考えていけたらと願っている。

【皇室の歴史 ― 日本とともに歩んだ千年・完】

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