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連載 ・ 全10話

スニーカー戦争 ― アディダス・ナイキ・プーマの100年

世界を二分するスポーツブランドの物語は、ドイツの小さな町の洗濯室から始まった。靴職人の兄弟ルドルフとアディが手を組み、1936年ベルリン五輪でその靴は世界の頂点に立つ。すべての起点を静かに辿る。

  1. 01 一足の靴から ― ダスラー兄弟と小さな町 世界を二分するスポーツブランドの物語は、ドイツの小さな町の洗濯室から始まった。靴職人の兄弟ルドルフとアディが手を組み、1936年ベルリン五輪でその靴は世界の頂点に立つ。すべての起点を静かに辿る。
  2. 02 兄弟の決裂 ― アディダスとプーマの誕生 二人三脚で頂点に立ったダスラー兄弟は、戦争を境に決定的に決裂する。1948年から49年、弟アディはアディダスを、兄ルドルフはプーマを興した。一本の川を挟んで町は二つに割れる。確執の始まりを辿る。
  3. 03 ベルンの奇跡 ― スタッドが変えた決勝 1954年ワールドカップ決勝、西ドイツが無敵のハンガリーを破った「ベルンの奇跡」。泥の決勝を分けたのは、アディ・ダスラーが用意した着脱式スタッドだった。ブランドが世界へ飛躍した一日を辿る。
  4. 04 太平洋の向こうで ― ナイキの源流 1960年代アメリカ。元陸上選手フィル・ナイトと恩師バウワーマンは、日本のオニツカタイガーを輸入する小さな会社を興した。車のトランクで靴を売る日々から、やがてナイキが生まれる。その源流を辿る。
  5. 05 ワッフルソールとスウッシュ ― ナイキ誕生 1971年、ブルーリボンスポーツは勝利の女神の名を借りて自前のブランドを立ち上げた。35ドルで描かれたスウッシュ、台所のワッフル焼き器から生まれたソール、そしてランニングブーム。新しい王者の最初の一歩を辿る。
  6. 06 スポンサーシップ戦争 ― 五輪とW杯を動かす者 勝負はスタジアムの中だけで決まるのではない。アディダスのホルスト・ダスラーは選手や大会と独占契約を結び、スポーツの商業化を主導したとされる。ISLとFIFA・IOCをめぐる構造、そしてアンブッシュ・マーケティングの始まりを辿る。
  7. 07 エア・ジョーダンの衝撃 — 一人の若者が、すべてをひっくり返す 1984年、ナイキは経営の踊り場にいた。ランニング・ブームは陰り、社内では一人のバスケットボール選手に社運を賭けるという無謀な計画が動き出す。その若者の名はマイケル・ジョーダン。靴の色をめぐる小さな騒動が、やがてスニーカーという商品を「文化」へと変えていく逆転劇の物語。
  8. 08 ジャスト・ドゥ・イット — マーケティングの時代 1988年、ナイキはわずか三語のスローガンを世に放った。「Just Do It」。靴の性能ではなく、人の感情に直接語りかけるこの言葉は、スニーカーを単なる履き物から「文化」と「ステータス」へと押し上げる。広告が商品より雄弁になった時代の始まりを描く。
  9. 09 グローバル化と影 ― 工場と労働問題 輝くブランドの裏で、靴は誰がどこで作っていたのか。生産のアジア移転と、1990年代に噴き出したスウェットショップ批判、不買運動、そして三強が迫られた社会的責任への転換を、公知の事実の範囲でたどる。
  10. 10 ストリートと未来 ― 三強の現在 ドイツの小さな町の兄弟喧嘩から始まった100年が、太平洋を越えて現在へとたどり着く。死にかけたプーマの再生、アディダスのコラボ文化、ナイキの王座、そして転売・限定・サステナビリティへ。三強の今と、スポーツとカルチャーの融合の行方を描く最終話。