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連載 ・ 全10話
ブランドの帝国 ― 高級ブランド150年の物語
19世紀、徒歩でパリを目指した一人の職人がいた。蒸気船と鉄道が旅を変えた時代、ルイ・ヴィトンは丸い蓋の旅行鞄を平らにし、積み重ねられるトランクを生んだ。模倣との長い戦いから生まれたダミエとモノグラム。鞄が物語をまとうまでの起点をたどる第1話。
- 01 旅から生まれた鞄 ― ルイ・ヴィトン、平らな蓋が変えた世界 19世紀、徒歩でパリを目指した一人の職人がいた。蒸気船と鉄道が旅を変えた時代、ルイ・ヴィトンは丸い蓋の旅行鞄を平らにし、積み重ねられるトランクを生んだ。模倣との長い戦いから生まれたダミエとモノグラム。鞄が物語をまとうまでの起点をたどる第1話。
- 02 馬具職人の誇り ― エルメス、急がない帝国の哲学 1837年、パリの片隅で馬の馬具を縫う工房が生まれた。自動車の時代に滅びかけた馬具屋は、その手縫いの技を鞄や衣服へと注ぎ込み、生き延びた。ケリーやバーキンに込められた希少性と職人主義。急いで作らないことを誇りとするエルメスの哲学をたどる第2話。
- 03 シャネルの革命 ― 女性を縛りから解いた一着 コルセットに締めつけられた身体を、動きやすいジャージーへ。帽子屋から出発した「ココ・シャネル」は、リトル・ブラック・ドレスと香水No.5で20世紀の女性像そのものを描き替えた。革命の輝きと、戦時下に残る影。その両面を中立にたどる第3話。
- 04 グッチ家の栄光と確執 ― フィレンツェの職人魂 ロンドンのホテルで他国の富を間近に見た一人の青年が、1921年、故郷フィレンツェで革製品の店を開いた。馬具に学んだ品格、竹のバッグ、世界への飛躍。だが栄光の裏で、一族は確執の渦に巻き込まれていく。光と影を中立にたどる第4話。
- 05 白い花びらの反乱 ― ニュールックが世界を変えた日 1947年2月、パリの一室で発表された一着のスーツが「これは革命よ」と叫ばせた。布を惜しんだ戦時を脱ぎ捨て、たっぷりとした花びらのようなスカートで女性の曲線を取り戻したディオールのニュールック。デザイナーが時代をつくる、オートクチュール黄金期の幕開けを史実ベースで描く。
- 06 ロゴはなぜ安くなったか ― ライセンスという甘い毒 名前を貸すだけで金が入る――1970年代から80年代、高級ブランドはライセンスという魔法に酔った。トイレの蓋から傘まで一流の名が氾濫し、グッチの商品はやがて二万種を超えた。ロゴがあふれるほど、ブランドは安くなる。栄光の老舗が陥った経営危機を史実ベースで描く。
- 07 カシミアを着た狼 ― アルノーが発明したLVMHという帝国 ライセンス乱発で価値を失いかけたラグジュアリー。それを救ったのは、デザイナーでも職人でもなく、一人の不動産業出身の実業家だった。ベルナール・アルノーはなぜブランドを「束ねて所有する」という発想にたどり着いたのか。LVMH帝国誕生の物語。
- 08 ブランドを愛した国 ― 日本という金脈の物語 パリの帝国を支えたのは、はるか東の島国だった。なぜ日本人はこれほどまでにブランドを愛したのか。戦後の憧れからバブルの熱狂、そして成熟へ。そしていま、その金脈は中国へと移りつつある。ラグジュアリーとアジアの関係を、史実ベースでたどる。
- 09 ストリートとの結婚 — ラグジュアリーが街へ降りた日 敷居の高さこそが誇りだった高級ブランドが、スニーカーやスケーターの文化と手を結んだ。「ルイ・ヴィトン」と「シュプリーム」の衝突、ヴァージル・アブローの登場、SNSが復権させたロゴ。大衆化という賭けが、ラグジュアリーに何をもたらしたのかをたどる第9話。
- 10 一流の値段の正体 — ブランドはなぜ高いのか 巨大化した中国市場、サステナビリティという新しい良心、転売と中古がつくる第二の市場、そしてロゴから体験へ。一流の値段とは何の対価なのか。旅行鞄から始まった百五十年の物語の終わりに、答えを急がずラグジュアリーの現在と未来を見渡す最終章。