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ロストフの14秒 — 2018

監督交代という混乱のなか、西野朗が率いた日本は誰も予想しなかった快進撃を見せる。決勝トーナメントのベルギー戦、2点を先行し、史上初のベスト8が見えた。だが終盤、わずか14秒のカウンターがすべてを覆した。最も美しく、最も残酷な90分の物語。

2026年6月27日

2018年のロシア大会は、出発からして異例だった。本大会のわずか2か月前、日本サッカー協会は監督のハリルホジッチを解任し、技術委員長だった西野朗を新監督に据えた。準備期間はほとんどない。「これで本当に戦えるのか」——多くの人が不安を抱えて日本を送り出した。

  1. 2018年4月

    本大会の約2か月前に監督交代。西野朗が日本代表監督に就任。

  2. 2018年6月

    コロンビアに2対1、セネガルと2対2、ポーランドに0対1。グループHを2位で突破。

  3. 2018年7月2日

    決勝トーナメント1回戦、ベルギーに2対3。終盤の逆転で敗退。

不安を覆したグループリーグ

下馬評は決して高くなかった。だが、いざ始まってみると、西野ジャパンは見違えるような戦いを見せる。

初戦のコロンビア戦、日本は相手の早い退場という幸運も味方につけ、香川真司のPKと大迫勇也のヘディングで2対1と勝利。ワールドカップで南米の強豪を破った、歴史的な一勝だった。第2戦のセネガル戦は、二度リードを許しながらそのつど追いつき、2対2の引き分けに持ち込む。粘り強さが光る試合だった。

最終戦ポーランド戦では0対1で敗れたが、日本はフェアプレーポイントの差でセネガルを上回り、グループH2位で決勝トーナメント進出を決める。試合終盤、敗色濃厚のなかでボールを回して時間を使う選択は賛否を呼んだが、突破という結果を最優先する現実的な判断でもあった。ともあれ、不安視されたチームは、堂々とノックアウトステージへ駒を進めたのである。

ベルギー戦、2点の先行

決勝トーナメント1回戦の相手は、優勝候補にも挙げられた強豪ベルギー。クルトワ、デ・ブライネ、ルカクら、世界トップクラスの選手を擁する「黄金世代」だった。誰もがベルギー有利と見ていた。

ところが試合が動くと、ロストフのスタジアムは騒然となる。後半3分、原口元気がカウンターから抜け出して先制ゴール。さらにその直後、後半7分には乾貴士がペナルティーエリア手前から美しい弧を描くミドルシュートを突き刺し、2対0。日本が、世界の強豪を相手に2点をリードしたのだ。史上初のベスト8という、見たことのない景色がすぐそこに見えていた。

14秒の逆転、そして「ロストフの14秒」

しかし、強豪は強豪だった。ベルギーは大型選手を投入し、パワープレーで日本のゴールに襲いかかる。後半24分、フェルトンゲンのヘディングが不運な軌道でゴールに吸い込まれ1点差。その5分後、途中出場のフェライニに同点ヘディングを許し、2対2に追いつかれた。

それでも日本は最後まで勝ち越しを狙った。試合はアディショナルタイムへ。日本が得たコーナーキックがその引き金になる。ベルギーGKクルトワがボールをキャッチした瞬間から、悪夢は始まった。デ・ブライネが前線へ持ち出し、左右に展開、最後はシャドリが押し込む。コーナーから自陣を出てゴールまで、わずか14秒ほどの一直線のカウンター。スコアは2対3。試合は、ほぼ同時にタイムアップの笛を迎えた。

のちに「ロストフの14秒」と呼ばれるこの逆転劇は、ワールドカップ史に残る鮮烈なカウンターとして記録された。日本にとっては、最も美しい夢の直後に訪れた、最も残酷な結末だった。

敗れて、世界に称えられた

2対3。日本はまたしてもベスト16で敗れた。だが、この敗戦は過去のどの敗退とも違っていた。日本は逃げずに勝ちにいき、世界の強豪をあと一歩まで追い詰めた。試合後、敗れた日本に対して、世界中から称賛の声が寄せられた。ロッカールームを清掃し、「ありがとう」のメッセージを残して去った日本代表の姿も、各国で大きく報じられた。

悔しさは深い。だが、その悔しさには確かな手応えが同居していた。「守って惜敗」ではなく、「攻めて、あと一歩」。日本は世界の強豪と、対等に殴り合えるところまで来ていた。この14秒の悔しさを胸に、次の日本は、強豪を正面から倒しにいく。物語は2022年、カタールへと続く。

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