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連載 ・ 全10話
AI覇権 ― 知能をめぐる米中の戦い
機械に知能を宿す——その途方もない夢は、一人の数学者の問いから始まった。1956年、ある夏の研究会で「人工知能」という言葉が生まれる。だが熱狂のあとには、二度の長い冬が待っていた。
- 01 知能を作るという夢 — AIの誕生と冬 機械に知能を宿す——その途方もない夢は、一人の数学者の問いから始まった。1956年、ある夏の研究会で「人工知能」という言葉が生まれる。だが熱狂のあとには、二度の長い冬が待っていた。
- 02 ディープラーニング革命 — 2012年の衝撃 2012年、ある画像認識の競技会で常識が覆った。冷遇されていたニューラルネットワークが、圧倒的な差で頂点に立つ。膨大なデータ、ゲーム用チップ、そして粘り強い研究者——三つが出会い、長い冬は終わりを告げた。
- 03 中国の覚醒 ― AlphaGoと国家計画 2016年春、ソウルで一台のプログラムが囲碁の世界王者を打ち破った。その瞬間を、海の向こうの大国はみずからの「スプートニク・ショック」として受け止める。AlphaGoの衝撃、2017年の国家計画、そして百度・アリババ・テンセントの台頭――中国がAIを国家覇権の中核に据えた決定の物語。
- 04 データという新しい石油 ― 監視と優位 二十一世紀の戦略資源は、地下に眠る石油ではなく、人々のスマホから流れ出すデータだった。十億人の暮らしが生む膨大なデータが中国に与えた優位、その裏側にある監視社会との緊張、そしてアルゴリズムと人材で先んじる米国との対比――力の源泉が「データ」へと移った時代の物語。
- 05 知能の心臓 ― GPUと半導体という喉元 データという新しい石油を手にしても、それを燃やす炉がなければ知能は生まれない。AIの計算を担うGPU、その製造を握る台湾のTSMC、そして米国が放った輸出規制が、中国のAIの喉元をどう締めていったかを描く。
- 06 生成AIの衝撃 ― ChatGPTと基盤モデル 2022年末、AIは研究室を出て、世界中の人々の手のひらへと飛び込んだ。たった一つのチャット画面が、五日で百万人、二か月で一億人を巻き込む。大規模言語モデルと基盤モデル、そしてAGIをめぐる競争が、いかにして覇権の新たな焦点になったかを描く。
- 07 ルールの戦い — 規制とガバナンス 生成AIが世界を席巻すると、力の競争は新しい段階へ移った。何ができるかではなく、誰がルールを決めるか――。欧州はリスクで縛り、米国は号令と撤回で揺れ、中国は思想ごと管理する。価値観をかけた標準の覇権争いが、静かに始まっていた。
- 08 デカップリング — 切り離される技術圏 米国は最先端の半導体を中国の手から遠ざけ、同盟国まで巻き込んで包囲網を敷いた。締め上げられた中国は国産化に賭ける。一台のスマートフォンが世界を驚かせ、人材は奪い合われ、ひとつだったはずの技術の世界は、ゆっくりと二つに裂けていった。
- 09 知能と権力 — 軍事・監視・社会 AIはもはや経済の道具にとどまらない。戦場では標的を選び、ネットでは本物と見分けのつかない嘘を生み、街角では群衆の顔を一瞬で識別する。知能が権力と結びついたとき、人類は何を得て、何を恐れ始めたのか。覇権の物語は、社会そのものの姿を描き替えていく。
- 10 知能の覇権、その先へ — AGIと人類の選択 人間に匹敵し、やがて超えるかもしれない知能——AGI。その実現時期も影響も、評価は大きく分かれる。米中が覇を競い、低コストの新モデルが市場を揺さぶる時代に、人類は石油でも半導体でもなしえなかった問いと向き合う。力の源泉を、どう統べるのか。最終話。